【友だちという呪縛~ボッチ上等~】17 群れないことの潔さ でもちょっと辛い‥
現在、私はスクールカウンセラーとして勤務しています。
中学校の教員として、また大学の非常勤講師として、若い世代と長い間関わり合ってきましたが、今目の前にいる子どもたちの抱えている問題は、
決して【子ども】だけの問題ではなく、私たちの社会が抱える問題そのものではないでしょうか。
そこで、『子どもたちの相談』を切り口として、私たちを息苦しくさせている『何か』に迫っていきたいと考えます。
「私を助けて」と訴えることができない子どもたちの背景・環境について考える。
子どもたちの状況1 思春期の発達段階について (詳細は以前のブログ参照)
① 身体の急激な変化
② 心の急激な変化
③ 他者との関係性の変化
子どもたちの状況2 対人関係形成力の低下
文科省はその原因として、学習指導要領の改訂で、現代の子どもの対人関係の特徴である
① 狭い閉じた小集団の一員となる
② 小集団の中で、同調的な関係が優先される
の2点を挙げています。
この傾向を助長することとして、私たち日本人の国民性とも言える【同調性】について、以下の二人の意見を参考として考えてみましょう。
学生A 『私は昔から空気を読んだり、集団行動をしたりといったことが苦手だったので、中学校のクラスでも、みんながまとまって行動していると
きに、別のことをしているというようなことがよくあった。そのせいでクラスメイトから疎まれることは仕方ないと思っていた。以下略』
学生B 『協調性と同調圧力について深く考えさせられた。学校という集団生活をおくる上で、協調性は必要不可欠なものであると思うが、それが
時には、同調圧力になつてしまうことを知り、とても難しい問題だと思った。私自身、日常生活の中で人と違う言動をする勇気がなく、いつ
も誰かと行動したり、考えを一緒にしたりしてしまう。』
いかがですか?
大人のみなさんから見ると、いずれにしても「何て不器用なの?」と思われるかもしれません。
また、「昔の私を見ているようで‥」と思われるかもしれません。
(この少し前に、例の『ボッチになるなら奴隷でいい』と言ったAちゃんの話を大学の授業中でしたところ、「Aちゃんは昔の私です」といった感想
がいくつか寄せられました。そして、その中には「成人式でこうした関係の友人と会ったけれども、一言も話さなかった。そんなものだよとAちゃん
に伝えてあげたい」と話してくれた女子学生もいました。みなさんも、このケースで、そんなふうに過去を振り返られたかもしれません)
では、実際に上記の学生Aさん、Bさんにはどのようなアドバイスをされますか?
私ならば‥
学生Aさんに対して‥『自分の考えや思いを大切にして、他の人と同調しないというところは、あなたのとても素晴らしいところ。あなたの意志の強さを感じます。そしてまた、群れないというあなたの姿勢は、とてもカッコいいと思うのね。だけど、そのかっこよさの裏には、結構嫌なことを言われてきたんじゃないのかなぁ。辛いこともあったよね。でも、めげなかったというあなたのメンタルの強さは、スゴイと思う。よくくじけなかったね。こう考えると、今までのあなたの生き方をとやかく言うことはできないと思うのね。だけど、これから長い人生を歩んでいく上で、これだけは心に留めておいてほしい。それは、あなたがとても嫌っている人が、もしも【正しいこと】【良いこと】を提案したり実行したりしたときには、それを素直に評価してほしいのね。「言っていることは立派だけど、嫌なあの人が言っているから、賛成できない」という考えや行動はしないでもらいたい。だって、それは本来あなたが嫌う生き方ではないのかなぁと思うから。周囲のみんなにも伝えたいけど、あなた自身もちょっと異なる視点でものごとを見れたらなぁと思います。私はそんなことを考えるけど、どう?』
いかがですか?
みなさんは、どのように思われますか?
そしてBさんに対して‥『今、辛いところだよね。今まで、単に自分のことを考えてばかりではなく、「何かトラブルになったら嫌だから‥私の気持ちはちょっと違うけど、わがまま言わずにみんなに合わせていた方が、嫌な雰囲気・空気にならずにみんなも嫌な気分にならないからと思って、今までそうしてきたのに‥あなたはどう思うの?と今さら聞かれても辛いよね。でも‥‥‥」』
この続きを考えてみてください。
「これが正解」というものはないと思います。
みなさんならば、Bさんにどのようなアドバイスをしますか?
次回、一緒に検討していきましょう。
こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いてい
ます。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。